100年の時間を旅する町へ

金山

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金山は、時間を旅し続ける町。

山形の最北端、

秋田との県境に位置する金山。

100年を優に超える杉がそびえる山々に囲まれた神秘的な風景が広がる町である。

地場産業である林業では、

手塩にかけた金山杉を100年の年月を経てはじめて切り倒し、 美しい建築や工業製品に姿を変える。

そして100年後の誰かの為にまた苗を植える。

我々にとってあたり前な、この途方もない循環はいまや世界のどこにも存在しない。

ここにしかない特別な繰り返し。

築百数十年を超える名家が点在するこの町では、100年構想を掲げ、白壁に板張りの外観の 家並、路地裏や用水路の魅力的な石畳築き上げてきた。

はるか昔からの繋がりの中に自分が、自然が存在していることを感じることが出来る場所である。

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そんな金山の森へ入り、100年を超える金山杉の伐採を体験し、また自ら収穫した食材を利用した地場の料理にて自然を食し、町の歴史を見てきた建築に宿泊する。

すべてが秒速で移り行く時代に100年の年月を費やす産業が進行形で存在する。

その異端性はここに生まれ育つ人々や、町づくりの潜在意識に深く影響を与えている。

時間を100年単位でとらえることが出来る土壌があるからこそ生まれた景色がここにある。

photo by Chuji Ito

Curator 川崎恭平 (カワサキキョウヘイ)


1980年山形生まれ。家業は林業。代々樹齢100年を超える金山杉を育ててきた。大学では専攻した建築にのめりこめずサッカーに没頭。卒業後、夢を叶えるべくスペインに渡るが、描いていたワールドカップへの道は2か月で終幕を迎える。絶望のバルセロナでガウディというおよそ建築家が目指すべきではない類の建築に触れ、再び建築の道に。

都内でいくつかの設計事務所にお世話になった後、30歳で地元に戻る。ここ金山にあるのは東京とも海外とも明らかに違う空気、人、自然、建築群。18年前とは少しだけ表情の変わった町、自然の中で過ごすうちに、時間が確実に町を奪っていくことを感じはじめる。経済性のない町では自然は自然のまま守っていけず、古き良き伝統、文化もまた失われていくことを知る。この地を永続できるローカルにすべく2019年に「dance with tradition/伝統と踊る」 をテーマに掲げ【株式会社 ここから(COCOKARA, inc.)】を設立。