日本最古の陶磁器の町で、新たな仲間と垣間見る未来
波佐見

長崎県波佐見は、どこを見渡しても陶器だらけ。
でも、どこよりも大切なものが見つかる場所かもしれない。
波佐見は、長崎県の中で唯一、海に面していない山に囲まれた盆地である。夏は暑く、冬は寒い、暮らすには厳しい場所だ。
もともとは隣町、佐賀県有田町の「有田焼」の下請け窯元として栄えていた。
その大量な数の陶器を生産するため、窯焼きする人と、絵付けする人など、それぞれの役割を持った分業制が特徴である。
陶器というと、ろくろを回して手でつくるものをイメージするかもしれないが、波佐見は、作った石膏の型に、土を流し込んで、一気に焼き上げていくという生産方法をとっている。
そんな波佐見で、
一変、変わった人たちがいる。
大量生産の陶器の産地である波佐見で、オリジナリティある陶器を展開した、マルヒロの馬場匡平さんだ。
ポップなカラーでアメリカンテイストのマグカップ「HASAMI」を作ったり、スケートボードブランドと一緒に、陶器のキセル
「坩堝」を作ったり。
有田焼の下請けとして生計を立てていた波佐見にとって、これは勇気のいる一手だった。
顔のない陶器に“波佐見としての顔”を
作った人と言えるだろう。
西海園芸の庭師、山口陽介さんも個性的な波佐見人の一人だ。
「将来は、月に枯山水を作りたい」と夢を語る山口さんは、イギリスの王立植物園キューガーデン内の日本庭園を担当し、シンガポールガーデンフェスティバル金賞を受賞するなど、世界的に活躍する庭師である。
古文書を紐解きながら、1200年の歴史ある寺院の庭をつくることもあれば、幼稚園の遊具の代わりに、自然のなかで子どもたちが遊べる園庭をつくることもある。
波佐見には、国内外で活躍する経営者が集まってくるのだ。
HafHの大瀬良亮さんも多くの地方を巡る中で、この土地に惚れ込んだ一人でよく訪れてくれる。
昼から、ゆっくりと陶器の窯をを見た後、面白い人が集まる”波佐見の夜“が始まる。
まちの居酒屋に彼らが集まって、未来の構想の話しがどこからか始まる。
何か新しいことを始めたい人が、切磋琢磨できる未来の仲間を見つけるのにぴったりな場所。
是非この辺境の地に来てください。

Curator
株式会社新栄代表取締役 山脇慎太郎
1983年生まれ。元々は看護師として福岡・東京で働き10年前家業の後継ぎとして波佐見町へ戻る。観光業・貸切バスの事業を展開する傍ら、自社企画として博多駅や長崎駅でのプロモーションイベントを運営し地元波佐見町への着地型観光の誘客の図るなど地域とのマッチングをコンセプトに独自のアイデアで手腕を振るう。